ちょっとパーセルを

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現代音楽について書くと疲れてしまう。

というより、聴くだけなら気楽なんだ。それは、ブルースでもジャズでもロックでも同じだし、中世・ルネサンス音楽だろうが、バロック音楽だろうが同じはずだ。書くと疲れる。それに、出してるはずなのに溜まる。まだ足りないのだろう。
なるべく印象記にならないように、かつ過剰に知識に頼らないように注意しているけど、まだブレるし、文体も定まらない。ま、知識なんか粗方忘れてしまったし、印象を書こうにも感覚は錆び付いている。その方が表現には都合が良いのだが、半端だし、疲れ過ぎるのは困る。

そんなわけでヘンリー・パーセルを聴いている。

歌劇『ディドとエネアス』だ。
ちょっと失敗した。僕の耳にはかなりオペラっぽい。スコラーズ・バロック・アンサンブルってのは古楽器を使ってるのではないのかな? テオルボは良いが、ギターと書いてある。バイオリンはあのバイオリンか? 奏法は少なくとも違うが。
僕はオペラは好きではなく、学生の頃はもっと嫌いだった。現代曲とバロックオペラは別として。ちなみにロックオペラは好きではない。
初めて気に入ったのは、ペルゴレージの『奥様女中』だった。軽快な演奏と歌が切れ目なく続く(違っていたかもしれないが、印象はそうだ)、ポップスみたいな音楽だ。僕は持ってないが、オペラ好きな人の餞別品の担当を頼まれて、僕が良いと思ったバロック期の音楽のLPを、集まったお金で買えるだけ買って渡したことがある。その中の1枚に加えた。絶対のお勧めだった。第一、オペラ好きなら、僕が知ってる程度のイタリアオペラのタイトルを買ったところで、本人が持ってる可能性が高すぎる。その上、僕はロマン派嫌いでロクな曲を知らなかった。いや、全てというわけではないけれど。
ヘンリー・パーセルで好きなのは『メアリー女王のためのオード』とかそんな類いの、軽快でさほど長くない曲だ。軽くて軽過ぎず、気持ち良すぎない程度に気持ち良い。これらは本当に心地よかった。
そしてオペラの『妖精の女王』も良かった。マスクらしいが僕にはオペラだ。短くてアップテンポのシンプォニーが数曲続き、間髪を入れずに "Come come come come, can’t see ..." と絶妙のタイミングで声が挿入される。ま、あくまで印象ということで、歌詞もいい加減だがそんな感じだ。25年も聴いてないし、LPが再生できないので聴き返すこともできない。ま、印象だからそれで良いんだ。

で、『ディド』が終わっちゃったので

ディスクを換えたら、クイーン・メアリーのためのセイクリッドなミュージックだった。カタカナ書きすると変だな、やっぱり。
テ・デウムから始まったが、まぁまぁだ。適当に気分は良い。華やかな金管も良いなぁ、パーセル
パーセルは36歳で死んだが、イタリアのペルゴレージも同じぐらいで死んだ。そう言えばファーストネームを知らないな。ジョバンニぐらいにしとこうか。賢治みたいだし。ジュゼッペでも良いかな。彼も天才だ。
次の世紀を生きたモーツァルトも同じぐらいの歳で死んでるが、僕は学生の頃はパーセルの方が天才だと思っていた。今はあまり自信が無い。いつの間にかモーツァルトも結構好きになってるから。
ベームウィーンフィルポリーニが弾いてる21番だったか19番だったかはとても良い。その程度には好きになった。遊びにきていた女の子にも良く聴かせた。良いと言ってた。でもパーセルだな、今のところ。

イギリスは不思議な国で、

パーセル以前には大作曲家が大勢いるのに、パーセルの次は20世紀のベンジャミン・ブリトゥンまで跳ぶ。ブリトゥンときたら保守的な作風で現代音楽とは言えない。そして、義務教育の教科書に出てきた『青少年のための管弦楽入門』で使っている旋律ときたらパーセルだ。間に誰もいないのだ。いっそダウランドでも使えよ。王室が好きならウィリアム・バードとかそのあたりのでも良いが。でもやっぱりパーセルだろうな、使うとしたら。気持ちは分かる。
極東の高橋悠治だって『パーセル最後の曲集』を作ったぐらいだ。”Unfortunately, Henry Purcell ...” という女声の朗読に、様々に変形された美しい旋律の断片が幾重にも絡まるあの音楽は、ブリトゥンと同じぐらい良かった。時代のハンディがあるから、その程度の評価で十分だろう。ユージはパーセルみたいに粋だった。いやダウランドのように美しくも物悲しい。
これもLPだから今聴けないなぁ。何とかしよう。もう何年もそう思ってるんだけどな。
さ、これで少しバランスが取れた。知ってる人間には面白くも何ともない下らない話を書くのは、ストレス解消になる。文体も変えたし、わりと安定している。これで中身があれば良いんだけど、今は無い物ねだりだ。書いただけマシだ。
ちょうどパーセルのCDは「ハレルヤ」の連続だ。そういえばヘンデルもわりと好きだったりする。ほとんど聴いてないが。気が多いのかな?
でも、アップするのは良いがパーセルに似合う写真が無いなぁ。コンパクト・デジカメ、酔っぱらって壊してから更新してないのが辛い。やっぱり新しいのを買おう。5台目かな?
  古楽 作曲家 日付:2007年05月21日

*1:☆ミラーです。インポートできないようなので手動でやりました。Muse というクラシック系SNSのブログの同じ日に同じ文を載せてます。ハンドルは『とっち〜』です。(2007.06.23コピー)
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